真菌性肺炎
主に3種類の真菌が肺炎を起こします。ヒストプラスマ症を起こすヒストプラスマ‐カプスラーツム、コクシジオイデス症を起こすコクシジオイデス‐イミティス、ブラストミセス症を起こすブラストミセス‐デルマティティディスの3種類です。
感染した人の多くは症状が軽く、感染に気づきませんが、中には重症化する人もいます。上記以外の真菌による感染症は、免疫力が非常に低下した人に主に発症します。
ヒストプラスマ症: ヒストプラスマ症は世界各地でみられますが、特に温帯気候や熱帯気候の河川流域で流行します。
米国では、ミシシッピ川やオハイオ川の流域と、東部の河川流域で最もよくみられます。ミシシッピ川やオハイオ川の流域に住む80%以上の人が、この真菌にさらされています。
この真菌を吸いこんでも、ほとんどの人では特に何も症状は起こりません。
実際、多くの人は、皮膚の検査や胸部X線検査で小結節やリンパ節腫大が見つかって初めて、自分がこの真菌に感染していることを知ります。
これらの部位には、カルシウムの蓄積もみられます。
せき、発熱、筋肉痛、胸の痛みもみられます。この感染によって急性肺炎または症状が数カ月間続く慢性肺炎を起こします。
まれに、感染が体の他の場所、特に骨髄、肝臓、脾臓、消化管などに広がることがあります。
こうした全身に移行していく病気は、エイズなどによって免疫不全の状態にある患者に発症する傾向があります。
診断は、患者のたんから真菌が確認されたり、血液または尿の検査で真菌が検出されたり、血液検査である特定の抗体が確認された場合に確定します。
治療は、イトラコナゾールやアムホテリシンBなどの抗真菌薬の投与が一般的に行われます。
コクシジオイデス症: コクシジオイデス症は、主に半乾燥気候の地域、特に、米国南西部や中南米の一部の地域で流行します。
この真菌を吸いこんでも、何も症状が出ない場合がありますが、急性または慢性の肺炎が生じることもあります。
感染が呼吸器系以外の、皮膚、骨、関節、脳を覆う髄膜などへ広がることがあります。
こうした合併症は男性に多く、フィリピン人や黒人、エイズなど免疫不全の患者に特に多くみられます。
診断は、たんや別の感染部位(鼻の穴など)から採取したサンプルから真菌が確認されたり、血液検査である特定の抗体が確認された場合に確定します。
治療は、フルコナゾールやアムホテリシンBなどの抗真菌薬の投与が一般的に行われます。
ブラストミセス症: ブラストミセス症は、主に米国の南東部、中南部、中西部や、五大湖の周辺地域でみられます。この真菌を吸いこむと、主に肺に感染します。
普通は何も症状は起こりませんが、インフルエンザに似た症状がみられる人もいます。
ときに、慢性的な肺炎の症状が数カ月続く場合もあります。
この病気は、体の他の部分、特に皮膚、骨、関節、前立腺などに広がることがあります。
診断は、たんや他のサンプルから真菌が確認された場合に確定します。
この真菌を確認できるような血液検査はありません。治療は、イトラコナゾールやアムホテリシンBなどの抗真菌薬の投与が一般的です。
しかし、多くの場合、治療の必要はありません。
その他の真菌感染症: これらの真菌症には、クリプトコッカス‐ネオフォルマンスが起こすクリプトコッカス症、アスペルギルス属が起こすアスペルギルス症、ケカビ目の真菌が起こすムコール症などがあります。
これらの真菌症は、世界中で起こります。
最も一般的なのはクリプトコッカス症で、健康な人にも広く起こりますが、エイズなどにより免疫不全の状態にある場合は重症化します。
クリプトコッカス症は、特に髄膜へ広がり、クリプトコッカス髄膜炎に至ることがあります。
アスペルギルス症は、急性白血病やエイズの患者、臓器移植を受けた人、長期間ステロイド薬を使用している人が起こす呼吸器感染症の重要な原因になっています。
ムコール症は、比較的まれな真菌症で、重症の糖尿病や白血病の患者で多くみられます。
以上の3種類の感染症は、イトラコナゾール、フルコナゾール、アムホテリシンBなどの抗真菌薬で治療します。
しかし、エイズなどで免疫不全状態の患者は、これらの感染症から回復できないこともあります。
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