糖尿病 『治療』
糖尿病の治療は食事療法、運動療法、患者本人への教育、そして多くの場合、薬物療法が行われます。糖尿病の人は血糖値を厳しくコントロールしていれば、合併症が起こりにくくなります。糖尿病治療の目標は、血糖値をできる限り正常範囲に維持することです。高血圧と高コレステロールの治療は糖尿病の合併症の治療にもなります。低用量のアスピリンを毎日服用することも役に立ちます。
糖尿病の人が自分の病気について学び、食事と運動が血糖値にどのように影響するかを理解し、合併症の予防法を知ることはとても有益です。糖尿病の研修を受けた看護師は、そうした情報を提供してくれます。
糖尿病の人は、医療関係者に糖尿病であることがわかるように、医療識別のブレスレットやタグを持ち歩くか身につけるべきです。特に大けがや危険な精神状態の際などには、医療専門家はこの情報を基に素早く救命処置を始められます。
食事管理はいずれのタイプの糖尿病の人にも非常に重要です。健康的な栄養バランスのとれた食事と健康的な体重を維持するように勧められます。栄養士に最適な食事プランを作成してもらうことも有益です。
1型糖尿病で健康的な体重を維持できる人は、大量のインスリンを必要とせずにすみます。2型糖尿病では健康的な体重を維持することで薬物療法の必要がなくなります。一般的に、糖尿病の人は甘いものを食べすぎてはいけません。また、食事と食事の間を長く空けないように、食事は規則的に摂取するようにします。糖尿病の人は血液中のコレステロール値が高くなる傾向があるので、食事の飽和脂肪酸量を制限することが大切です。血液中のコレステロール値を制御する薬も必要です。
適度な運動も体重のコントロールに役立ち、血糖値を正常範囲に維持します。
血糖値が高くなりすぎないようにするのは、容易ではありません。血糖値を厳密にコントロールするのが難しい主な原因は、血糖値が低くなりすぎることがあるからです。低血糖の治療は緊急を要します。後遺症を防ぎ症状を回復させるには、数分以内に糖を投与しなければなりません。ほとんどの糖尿病の人は、糖分を摂取します。糖の種類は問いませんが、ブドウ糖は食卓用の砂糖(一番多いのはショ糖)よりも速く作用します。糖尿病の人はブドウ糖の錠剤やブドウ糖入り溶液を携帯します。このほかに、コップ1杯の牛乳(糖の1種である乳糖を含む)、砂糖水、果物のジュースなどを飲んだり、ケーキ1切れ、果物、何か甘いものを食べるのも有効です。さらに重篤な状況では、救急の医療専門家にブドウ糖を静脈注射してもらう必要があります。
このほかに、低血糖の治療法にはグルカゴンを使用する方法があります。グルカゴンが筋肉に注射されると、肝臓は大量のブドウ糖を数分以内に放出します。グルカゴン入り注射器の小型携帯用キットがあれば緊急時に役立ちます。
糖尿病性ケトアシドーシスも昏睡や死亡に至ることがあるので、治療は緊急を要します。通常、集中治療室への入院が必要です。大量の水分が、過剰の排尿によって失われたナトリウム、カリウム、塩素、リン酸などの電解質とともに静脈を通して補給されます。インスリンは速く作用し、量を頻繁に調整できるように静脈から投与されます。糖、ケトン、電解質は数時間ごとに測定し、血液の酸性度も測定します。酸性度が高ければ修正する追加の処置が必要です。血糖値を制御し、電解質を補充すれば、体内の酸‐塩基バランスは正常に戻ります。
非ケトン性高浸透圧高血糖昏睡では、糖尿病性ケトアシドーシスと同様の治療を行います。この場合も水分と電解質を補給しなければなりません。脳に水分が急激に移行しないように、血糖値は徐々に正常値に戻さなければなりません。血糖値は糖尿病性ケトアシドーシスの場合より容易にコントロールされ、血液の酸性度も深刻な問題にはなりません。
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