糖尿病 『療経過のモニタリング』
血糖値の測定は糖尿病治療には不可欠です。糖尿病の人は、食事、運動、薬で血糖値を調節する必要があります。これらの調節に必要な情報は血糖値をチェックすることによって得られます。症状が現れるまで低血糖あるいは高血糖を放っておくと深刻な事態になります。
血糖値を変化させる原因はたくさんあります。食事、運動、ストレス、病気、薬物、1日の時間帯でさえ影響します。気づかずに炭水化物の非常に多い食事を取ったために、食後に血糖値が急に上昇することもあります。運動すると血糖値が下がり、糖分が必要になります。感情的ストレス、感染症、薬物などは血糖値を上げる傾向があります。多くの人は血糖値が早朝に上がりますが、それはホルモンが正常に放出され(成長ホルモンとコルチコステロイド)、暁現象と呼ばれる反応が起こるためです。低血糖に対する反応でブドウ糖が放出されると、血糖値が急に跳ね上がります(ソモギー効果)。
血糖値は自宅でもどこでも容易に測定できます。血糖測定装置を使って、まず小さなランセットで指先を軽く刺して、血液を1滴採取して測定します。ランセットは指先を突く小さな針のことで、バネ仕掛けになっていて、素早く皮膚を突くことができます。多くの人は針を刺してもほとんど痛みはありません。次に、1滴の血液を試験紙に載せると、糖に反応して化学変化が起こります。その変化を測定器が読み取ってデジタルディスプレーに表示します。ほとんどの測定器で反応時間と結果を自動的に読み取ります。これらの測定器はカードより小さなサイズです。
新しい血糖値測定器には、血液を採取せずに皮膚を通して測定できるものがあります。これは腕時計のように身に着けて、15分ごとに血糖値を測定するものです。血糖値が低すぎたり高すぎるとアラーム音が鳴るように設定できます。この測定器が不便な点は、血液検査の際、定期的に目盛りを調整しなければならないこと、皮膚を刺激すること、大きくてかさばることです。
糖尿病の人は血糖値を記録し、血糖値を調節するインスリンと経口血糖降下薬の量についてアドバイスを受けるために、医師や看護師に報告するようにします。多くの人は、インスリン量の調節を体得して必要に応じて自分でできるようになります。
尿中の糖も検査できますが、尿検査は治療の経過観察や治療法の調節にはあまり良い方法ではありません。それは、尿検査による尿中の糖の値が、その時点の血糖値を直接反映しているわけではないため、検査結果によって誤った方向へ導かれるおそれがあるからです。血糖値は尿中の糖濃度の変化にかかわらず、大幅に低くなったり、ほどほどに高くなったりします。
医師は、ヘモグロビンA1Cという血液検査を用いて治療の経過を観察します。血糖値が高いと、血液中で酸素を運ぶタンパク質のヘモグロビンが変化します。長期的にみると、これらの変化は血糖値と相関関係にあります。つまり、ある瞬間の血糖値を示す血糖値測定と異なり、ヘモグロビンA1C値は血糖値が過去数週間にわたりコントロールされていたかどうかを示します。ヘモグロビンA1Cの正常値は7%未満です。糖尿病の人ではこの値はまれですが、血糖値を厳密にコントロールしてこの値に近づけるようにします。値が9%以上はコントロールが悪い、12%以上は非常に悪いことを示します。糖尿病治療の専門医はヘモグロビンA1Cを3〜6カ月ごとに測定することを勧めています。糖化アミノ酸のフルクトサミンの測定も、2〜3週間にわたる血糖制御状態を知るための指標として有効です。
実験的治療法
実験的治療は1型糖尿病の治療法として期待されています。1つは、インスリン産生細胞を体内に移植する治療法です。この方法がまだ日常的に行われないのは、移植細胞に対する拒絶反応を抑えるために免疫抑制薬が必要だからです。免疫系の抑制が必要ない新しい技術が研究されています。
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