肺胞タンパク症
肺胞タンパク症とは、肺胞がタンパク質を豊富に含む液体で詰まってしまうまれな病気です。
この病気は一般的に、肺疾患にかかったことのない20〜60歳の人がかかります。発症原因はわかっていません。この病気はときに、無機物のほこりなどの有害物質の吸入、ニューモシスチス‐カリニによる感染症)、特定の癌(がん)、免疫抑制薬などと関連があります。
肺のタンパク質が肺胞と細い気道をふさぎます。まれに、肺組織が瘢痕化します。この病気は進行することもあり、変化しないことも、自然治癒することもあります。
症状と診断
肺胞がふさがると、肺から血液中への酸素の移動が非常に難しくなります。そのため、肺胞タンパク症の患者のほとんどは運動時に息切れを起こします。一部の人は、安静時にもひどい呼吸困難を起こします。せきもよく出ますが、喫煙者でないかぎり、たんを伴うことはありません。肺機能の低下によって重い障害が起こります。肺感染症を起こすと息切れや発熱などの症状が急速に悪化します。
胸部X線検査では、両方の肺に濃い白い斑点が広がって現れ、普通は心臓近くの中心部に認められます。CT検査では、同様の変化のほか、この病気を示す別の変化もみられます。肺機能検査では、肺が保持できる空気量の著しい低下がみられます。血液中の酸素濃度は、初めは運動時にのみ、やがて安静時にも低下が認められます。酸素吸入療法を実施しても、血液中の酸素濃度は予想したほどには上昇しません。血液検査の結果は肺胞タンパク症に特異的なものではありませんが、乳酸脱水素酵素(LDH)やガンマグロブリンなど、一部の物質の濃度の上昇がみられます。
診断を確定するために、肺胞から採取した液体のサンプルを調べます。サンプルを採取するため、気管支鏡を使って肺の一部を生理食塩水で洗浄し、後でその洗浄液を回収します。ときには気管支鏡検査と同時に肺生検を行い、顕微鏡検査用の肺組織のサンプルを採取します。まれに、より大きなサンプルが必要な場合は、手術をして採取します。
治療
症状がほとんど、またはまったくない患者に治療は必要ありません。生活に支障を来すような症状がある場合、気管支鏡検査の際に、または口や気管を通して特殊なチューブを挿入し、肺胞中にあるタンパク質を豊富に含んだ液体を生理食塩水で洗浄します。肺のごく一部を洗浄することもありますが、症状が重く血液中の酸素濃度が非常に低い場合は、患者に全身麻酔をして片方の肺全体を洗浄します。約3〜5日後に再び全身麻酔をして、もう一方の肺を洗浄します。1回の洗浄ですむ場合もありますが、何年間も6〜12カ月ごとに洗浄が必要な場合もあります。
ヨウ化カリウムやタンパク質分解酵素といった他の治療法の有用性については明らかになっていません。プレドニゾロンなどのステロイド薬は効果がなく、実際は感染症にかかるリスクを高めることがあります。細菌感染症は抗生物質の内服で治療します。
肺胞タンパク症の患者の一部では息切れの症状が続きますが、定期的に肺洗浄を行っている限り、この病気で死亡することはまれです。
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