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腎臓の病気 『多発性嚢胞腎 』

多発性嚢胞腎

多発性嚢胞腎は、液体のたまった袋(嚢胞)が両方の腎臓に多数形成される遺伝性の病気で、そのために腎臓は大きくなりますが、機能している腎組織が少なくなります。

多発性嚢胞腎を引き起こす遺伝子の異常は、優性の場合もあれば劣性の場合もあります。つまり、この病気をもっている人は、片方の親から1つの優性遺伝子を受け継いでいるか、両親からそれぞれ1つずつ劣性遺伝子を受け継いでいます。優性遺伝子を受け継いだ人の場合は通常、成人になるまで症状は現れません。劣性遺伝子を受け継いだ人は、小児期に重度の状態になります。

遺伝子の異常によって、両方の腎臓で嚢胞が広範囲に形成されます。嚢胞は年齢に伴って次第に大きくなっていき、腎臓の中で血流量が減少して線維化し瘢痕(はんこん)が生じます。腎臓結石ができることもあります。腎機能が低下し、やがて腎不全に至ります。遺伝子の異常により、嚢胞が肝臓や膵臓など体の別の部位にできることもあります。

症状と合併症

小児期に発症する劣性遺伝型の場合は、嚢胞が非常に大きくなり、腹部が突き出てきます。胎児の期間に腎不全を起こして肺が十分に発達しなかった新生児の重症例は、生後すぐに死亡します。肝臓も障害され、5〜10歳ごろになると腸と肝臓を結ぶ血管(門脈系)の高血圧を起こしやすくなります。最終的には、肝不全と腎不全が生じます。

優性遺伝型の多発性嚢胞腎では、嚢胞の数が少しずつ増え、そのサイズも徐々に大きくなっていきます。多くは青年期から中年期に発症しますが、死後に解剖してみて初めてわかることもあります。腹部またはわき腹の不快感や痛み、血尿、頻尿、腎臓結石が原因の激しい痛み(疝痛)などの症状があります。このほか、機能している腎組織が少ないために、疲労感や吐き気など腎不全の症状が起こります。慢性的な尿路感染症によって、腎不全は悪化します。多発性嚢胞腎では少なくとも半数の人に、診断時に高血圧がみられます。

多発性嚢胞腎の人の約3分の1で、肝臓にも嚢胞がみられますが、肝機能には影響しません。約10%の人に脳の動脈瘤(どうみゃくりゅう)があります。通常、動脈瘤が大きくなると頭痛が生じます。脳動脈瘤の多くは出血し、脳卒中を引き起こします。

診断、経過の見通し、治療

医師は、家族歴と腎機能の検査結果からこの病気を疑います。病気が進行していて腎臓が非常に大きくなっていれば、診断は明らかです。超音波検査やCT検査では、腎臓や肝臓の組織が嚢胞によって虫食い状になった特徴的な所見がみられます。

尿路感染症や高血圧を治療することで寿命は延びます。ただし、この病気の人の半数以上はやがて腎不全を発症します。透析や腎移植を行わなければ、腎不全から死に至ります。

子供をもつことを希望する多発性嚢胞腎の患者には、自分の子供にこの病気が遺伝する確率を知るのに役立つ遺伝子検査があります。
















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